抜けてしまう自髪、心配ない白髪
自髪と髪の関係について、本当のことを言っておきましょう。
「やいやい、理屈はもういいから、実際にどうやって手入れをしたらいいのか教えて
くれ」という声が聞こえてくるようです。
実際、お客さんの中にも、せっかちな方はいらっしゃるのですが、まず、自分の髪
のことを知ることが大事。髪ばかりはパツと生えるわけではないので、気長にいくし
かありません。せっかちな方ほど長続きせずに、結局貴重な何本かの髪を見殺しにし
ているのです。
さて、話を自髪に戻しましょう。
白髪はたいてい側頭部から始まるというパターンを持っています。
そして子供の自髪やいわゆる若白髪は、やはり遺伝によるケースが多いようです。
問題は、その自髪がハゲにつながるかどうかということです。それには、白髪の生
えてきた場所が頭のどの部分かを確認すればイッパツです。
もしあなたの白髪が、側頭部やおでこの生えぎわからポツポツと出始めたら、まず
ハゲにつながる心配はないと思ってよいでしょう。白髪だけで終わり、 ハゲにはつな
がっていかないからです。言ってみれば″よい白髪″です。これは遺伝性の、または、
トシをとれば誰にでも生えてくる年齢的な白髪だからです。
一方、頭のてっぺんから白髪が出始めたら要注意です。これはハゲに直結する心配
があります。これは″悪い白髪″ です。自髪の根本で疹血が始まっており、ハゲの前
段症状と考えられるからです。
そこでみなさんにひとつご注意があります。それは、どっちにしろ白髪は抜かない
はうがいいということです。疹血性の白髪の場合は、 一時的に抜け毛を生じたり髪の
質が悪くなっても、血液循環の復活に伴って再び黒くなる可能性が高いからです。つま
り毛根がまだ死んでいません。抜け毛となって落ちてしまったものは結構ですが、まだ
頭皮にしっかりとくっついている白髪を抜くことは、髪の毛の成長源である毛包自体を
傷つけてしまうことになります。
ましてや、「オシャレのために……」といって、まだ先端部しか白くなっていなく
て、根元のほうは黒い″半白髪″まで抜いてしまうのは厳禁です。
自髪をとりますか? ハゲを選びますか? 白髪だっていいではありませんか。問
題はその自髪がハグにつながるかどうか――なのです。
くせ毛か直毛かより、大事なのは髪の″張り″
よくお客さんに、「くせ毛の人と、直毛の人とどっちがハゲるんや」と聞かれるこ
とがあります。
確かに素人さんから見ると、この、くせ毛か直毛かということが、 ハゲと深いつな
がりがあると見えるのでしょう。しかし、私、玄人から見れば、そんなことどうでも
いいのです。ただひとつ注意すべきは″髪の張り″があるかどうかということなので
す。
ここで言う張りというのは、髪の毛の弾力性、つまり復元力と考えてください。髪の
毛が細いとか太い、天然ウェープだとか縮れっ毛といった髪の性質とは関係がありま
せん。それぞれの髪質の中で、張りのある髪の毛と張りのない髪の毛があるのです。
たとえば髪の毛がやわらかい人の場合は、髪の毛を軽くなでつけてもふっくらとハネ
返ってくるようなら大丈夫です。でもなでつけたままペタンと寝てしまう、復元する勢
いの弱い髪の毛は心配です。髪の毛が大い人の場合は、髪をなでつけるとポキッと折れ
てしまいそうな人がいます。剛毛の人はなおさら要注意です。
私たちの髪の毛の健康度を見る場合、このように大事なポイントになるのが髪の毛
の弾力性です。髪に弾力さえあれば、くせ毛だろうが直毛だろうが、あるいは髪の一
本一本が太かろうが細かろうが、やわらかかろうが、少なかろうが関係ありません。
指で押すと髪の毛が押し返してくるような張り……。それが理想的です。
若い人の場合、この変化が前髪にまっ先に出やすいのです。
寝グセがつくなら安心だ
よく、髪の毛の寝グセをつけたまま電車に乗っている人がいます。これを気にする
人は、髪の質や、はては(頭の形が不細工なんやろか?)と悩み、親を恨むというの
です。
でも、これも俗説です。寝グセと髪の質や、まして頭の形など全然関係ありません。
その証拠に、若くて元気な人はど寝グセが多いのです。 一般的にいえば、トシを
とるにしたがって寝グセはつきにくくなります。
私のお店に散髪にいらっしゃるお客さんの中でも、寝グセらしきものをつけたまま
の人は、たいてい若くて、元気な髪の人です。
なぜ若い人の髪に寝グセがつきやすいかというと、それは髪の毛に弾力性とコシが
あるからです。
トシをとってきて、髪が弱ってくると、髪のコシがなくなリフニャフニャとやわら
かくなってしまいます。そのためいくら寝グセをつけようとしても、クセがつかずに、
すぐに、いつもの髪の流れにペタンと戻ってしまうのです。
髪が弱り始めたお客さんが、その最初の段階でいつもおっしゃいます。「マスター、
最近、髪がペタンとしてしまうんや」「若いときは剛毛やったのに、急に細くなって
しもうた。これからハゲてしまうのやろか」と、こんな話を幾度となく聞いてきまし
た。
いままで、寝グセのひどかった人が、急に寝グセがつかなくなったら、要注意なの
です。